「体育の授業で跳び箱だけ跳べない」「みんなの前で失敗するのが怖いと言っている」――お子さんの跳び箱の悩みに、困っている保護者の方は少なくありません。運動会や体育の授業のたびに「今日も跳べなかった」と落ち込んで帰ってくる姿を見ると、どう声をかけていいか分からず悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
跳び箱は、腕の支持力・タイミング・恐怖心の克服など、いくつもの力が同時に必要な運動です。そのため「練習すればすぐ跳べる」というものではなく、つまずくポイントを一つずつ解消していくことが大切です。この記事では、跳び箱が苦手な子どもによくある原因、年齢による違い、家庭でも取り組みやすい練習方法、練習するときに気をつけたいこと、よくある質問まで、順を追ってご紹介します。
跳び箱が跳べない子によくある原因

跳び箱ができない理由は、子どもによってさまざまです。「運動神経が悪いから」とひとくくりにされがちですが、実際には技術面・体力面・気持ちの面と、原因を分解して考えることができます。まずは代表的な3つの原因を見ていきましょう。
1. 腕で体を支える力が足りない
跳び箱は、両手を跳び箱の上について体を持ち上げる「支持力」が必要です。この力が弱いと、手をついた瞬間に体が沈んでしまい、跳び越えることができません。腕の力だけでなく、肩まわりや体幹の力も関係しているため、「腕の筋トレをすれば解決する」という単純な話ではないのが、跳び箱の難しいところです。実際には、体全体をまっすぐに保ちながら支える力、いわゆる体幹の安定性も大きく関わっています。
2. 助走から踏み切りへのタイミングが合わない
助走のスピードのまま踏み切り板を強く踏めないと、跳ぶための勢いが生まれません。踏み切りのタイミングがずれてしまうのも、よくあるつまずきポイントです。特に、踏み切り板の手前で減速してしまう子どもは、勢いが足りずに跳び箱の上に乗り上げるような跳び方になりがちです。踏み切りは一瞬の動作のため、頭で理解していても体がついてこない、というケースも多く見られます。
3. 「失敗して痛い思いをするかもしれない」という恐怖心
一度うまく跳べなかった経験があると、それが記憶に残り、体が無意識に踏み切りを弱めてしまうことがあります。恐怖心は、技術以前に大きな壁になります。周りの子と比べて「自分だけできない」という気持ちが加わると、挑戦すること自体を避けてしまうケースも見られます。この心理的なブレーキは、体の準備がどれだけ整っていても、上達を妨げる大きな要因になります。
年齢によって、つまずきやすいポイントは変わる

跳び箱への苦手意識は、年齢によっても現れ方が違います。お子さんの様子と照らし合わせながら見てみてください。
3〜4歳ごろ
この年齢では、跳び箱そのものよりも先に、体を動かす経験の量そのものが土台になります。走る、跳ぶ、転がる、支えるといった基本的な動きに慣れていく時期で、跳び箱の練習を焦って始めるよりも、体を動かすことそのものを楽しめる環境が大切です。
5〜6歳ごろ
体を支える・踏み切るといった動きが少しずつできるようになってくる時期です。この段階で成功体験を積めるかどうかが、その後の「運動が好き・苦手」という気持ちに大きく影響します。
小学校中学年〜高学年ごろ
体の力自体はある程度ついている一方で、「一度失敗した」「周りと比べてしまう」といった気持ちの面が影響しやすくなる時期です。技術的な指導と同時に、成功体験を積み重ねて自信を取り戻すアプローチが効果的です。
おうちでもできる練習方法
ここからは、家庭でも無理なく取り組める練習方法を4つのステップでご紹介します。どのステップも、短時間・少ない回数から始めて、少しずつ慣らしていくのがポイントです。
ステップ1:腕で体を支える練習をする
床に手をついて体を支える「クマ歩き」や、両手を肩幅につき体を持ち上げる練習は、跳び箱に必要な支持力を養うのに役立ちます。最初は数秒体を支えるだけでも構いません。1日数分でも、継続することで少しずつ力がついていきます。慣れてきたら、支える時間を少しずつ延ばしたり、手をつく位置を変えたりして、負荷を調整してあげましょう。おうちのソファや低い台を使って、手を離さずに体を支える練習をするのもおすすめです。
ステップ2:踏み切りの感覚をつかむ
その場でジャンプして高く手を上げる練習や、低い段差を使って両足でしっかり踏み切る練習は、跳び箱の踏み切り動作の感覚づくりにつながります。「タン・トン」というリズムで踏み切ってジャンプする練習も、跳び箱の踏み切りに近い感覚を養うのに役立ちます。踏み切りは言葉で説明するよりも、実際にリズムに合わせて体を動かす中で感覚をつかんでいくものです。
ステップ3:低い高さから成功体験を積み重ねる
いきなり高い跳び箱に挑戦するのではなく、跳べる高さから始めて「できた」という経験を積むことが、恐怖心を減らす近道です。少しずつ高さを上げていくことで、無理なく自信を積み重ねられます。家庭では、クッションや低い台など、安全に配慮したもので代用しながら、成功体験を積む場をつくってあげるとよいでしょう。
ステップ4:できたことを具体的に言葉にして伝える
練習の中で少しでもできたことがあれば、「手をしっかりつけたね」「前より勢いよく踏み切れたね」というように、具体的に言葉にして伝えてあげることも大切です。結果だけでなく過程を認めてもらえることで、子どもは次の挑戦に前向きになりやすくなります。「跳べた・跳べなかった」という結果だけで評価しないことが、長い目で見て一番の上達の近道になります。
体幹の力が、跳び箱の上達にも関わっている

跳び箱というと腕や脚の力ばかりに注目しがちですが、実は体幹の安定性も大きく関係しています。手をついて体を支えている間、体がぐらついてしまうと、うまく跳び越えることができません。逆に、体幹がしっかりしていると、支持している間も姿勢を保ちやすくなり、着地も安定しやすくなります。
体幹は、跳び箱だけでなく、鉄棒や縄跳び、日常のさまざまな動作にも関わる土台の力です。跳び箱の練習と並行して、体幹を使う運動に取り組むことで、遠回りのようで実は上達の近道になることがあります。
保護者の声かけの具体例
練習中、どのように声をかけたらいいか迷う方も多いと思います。結果ではなく過程に注目した声かけを意識してみてください。
- 「今日はここまで挑戦できたね」(結果ではなく挑戦したこと自体を認める)
- 「さっきより手をしっかりつけられていたよ」(小さな変化を具体的に伝える)
- 「跳べなくても、やってみたことがすごいよ」(失敗を否定しない)
- 「次はどこを頑張ってみる?」(次への意欲を本人に考えさせる)
反対に、「なんでできないの」「もっと頑張って」といった言葉は、本人がすでに頑張っている場合、プレッシャーになってしまうことがあります。できたところに目を向ける声かけを積み重ねることが、挑戦し続ける力につながります。
家庭で練習するときに気をつけたいこと

家庭での練習は、あくまで「感覚づくり」や「自信づくり」が目的です。無理に高さを上げたり、できないことを繰り返し指摘したりすると、かえって恐怖心や苦手意識を強めてしまうことがあります。マットや安全な場所を選ぶこと、そして「できなくても大丈夫」という雰囲気で見守ることを意識してみてください。また、正しいフォームやタイミングは、文章や動画だけでは伝わりにくい部分も多いため、その場で見てもらいながら直すほうが上達が早いことも少なくありません。
よくある質問
Q. 運動が苦手な子でも、跳び箱を克服できますか?
跳び箱が苦手な理由は技術・体力・気持ちのいずれか、あるいは組み合わせであることがほとんどです。原因に合わせて段階を踏んで取り組めば、多くの場合は少しずつ改善していきます。
Q. どのくらいの期間で跳べるようになりますか?
原因や練習の頻度によって差がありますが、焦らず段階を踏むことが結果的に一番の近道です。短期間での上達を急ぎすぎると、恐怖心が強まってしまうこともあるため注意が必要です。
Q. 家庭での練習だけでも上達しますか?
体を支える力や踏み切りの感覚づくりなど、家庭でできることは確かにあります。一方で、フォームの細かい部分やタイミングは、その場で見て直してもらうほうが上達が早いケースも多くあります。家庭での練習と、専門的な指導を受ける場を組み合わせるのも一つの方法です。
焦らず、段階を踏むことが上達の近道
跳び箱が跳べない背景には、体力・技術・気持ちのどれか、あるいは複数が影響しています。一つひとつの原因を丁寧に見極め、無理のない段階を踏んでいくことが、遠回りに見えて実は一番の近道です。
SBCスポーツ教室では、跳び箱や鉄棒、マット運動などの体操種目と体幹トレーニングを組み合わせ、子ども一人ひとりの年齢やレベルに合わせて段階的に指導しています。3〜4歳のCクラス、5〜6歳のBクラス、7〜12歳のA・Sクラスと、年齢や発達段階に応じてクラスを分けているのも特長です。「できる・できない」だけでなく、挑戦する姿勢や、少しずつ成長していく過程を大切にしています。複数のコーチによる安全面に配慮した指導体制のもと、地域でも珍しい大型のエアートランポリンも取り入れながら、楽しみながら体を動かす経験を積むことができます。
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