バタ足をしても前に進まない原因とは?子どもに伝わる練習方法

「一生懸命バタ足をしているのに、なかなか前へ進まない」

「足を動かすほど身体が沈んでしまう」

水泳を始めたばかりの子どもによく見られる悩みです。

バタ足で進めないと、つい「もっと強く蹴って」「もっと速く足を動かして」と伝えたくなります。しかし、力が足りないのではなく、姿勢や足の動かし方によって水の抵抗が大きくなっている可能性があります。

この記事では、バタ足をしても前へ進まない主な原因と、子どもにも伝わりやすい練習方法を紹介します。


目次

バタ足とは?

バタ足は、左右の脚を交互に上下させて水を蹴る動きです。

クロールでは、バタ足によって前へ進む力を生み出すだけでなく、身体が沈まないように姿勢を保つ役割もあります。

効率よくバタ足を行うポイントは、次のとおりです。

  • 脚を大きく開きすぎない
  • 足首の力を抜く
  • 膝だけでなく脚全体を動かす
  • 小さく連続して蹴る
  • 身体をまっすぐ伸ばす

泳ぐときは、単に足を強く動かせばよいわけではありません。前へ進む力を生み出しながら、できるだけ水の抵抗を減らすことが重要です。クロールのキックでは脚を近づけ、足首をリラックスさせ、脚全体を使って小さく連続的に動かすことを推奨しています。


バタ足をしても前に進まない6つの原因

1.膝を大きく曲げている

最もよく見られるのが、膝を大きく曲げて、自転車をこぐように足を動かしている状態です。

膝が大きく曲がると、太ももや膝が水の流れを止めてしまいます。そのため、たくさん足を動かしているのに前へ進みにくくなります。

また、足の裏で水を下へ押すだけの動きになりやすく、前へ進む力へうまくつながりません。

子どもへの伝え方

「自転車こぎじゃなくて、長い足のままパタパタしよう」

「膝をおなかの方まで持ってこないようにしよう」

膝を完全に伸ばして固める必要はありません。少し曲がるのは自然ですが、膝だけを大きく動かさないことが大切です。


2.足首に力が入りすぎている

足首が硬く、つま先が上を向いていると、水を後ろへ押しにくくなります。

バタ足では、足首をリラックスさせ、足の甲で水を押すような感覚が重要です。足首が柔らかく動くことで、足先がフィンのような役割を果たします。

子どもへの伝え方

「足首をブラブラにしよう」

「足の甲で水を後ろに飛ばそう」

「足をヒレみたいに柔らかくしよう」

「つま先を伸ばして」と言いすぎると、逆に足首へ力が入る子もいます。その場合は、「ブラブラ」「柔らかく」という表現の方が伝わりやすくなります。


3.足を大きく動かしすぎている

大きく蹴った方が進みそうに思えますが、足の上下幅が大きくなりすぎると、水の抵抗も大きくなります。

足が水面より大きく飛び出したり、深く沈みすぎたりすると、蹴る力が前進につながりにくくなります。

バタ足は、強く大きく蹴るよりも、小さく連続して動かすことが基本です。

子どもへの伝え方

「大きなバタバタじゃなくて、小さなパタパタにしよう」

「足と足が離れすぎないようにしよう」

「水面を少しだけ泡立てよう」


4.顔を上げすぎている

前が気になって顔を上げると、頭が高くなり、反対に腰や脚が沈みやすくなります。

脚が深く沈むと、水の抵抗が増えるため、バタ足をしてもなかなか前へ進みません。

水中では、頭から足先までをできるだけ一直線に近づけることが大切です。クロールでは、推進力を増やすだけでなく、抵抗を減らすことが泳ぎの効率につながります。

子どもへの伝え方

「おへそを見るように顔を下へ向けよう」

「頭を水に預けよう」

「頭から足まで一本の鉛筆になろう」

水への恐怖がある子は、無理に顔をつけさせないようにしましょう。まずは口、鼻、目と、少しずつ水へ慣れることが優先です。


5.腰やお尻が沈んでいる

身体が「く」の字に曲がっていたり、腰が沈んでいたりすると、脚だけで身体全体を持ち上げながら進まなければなりません。

この状態では、足をたくさん動かしても疲れるばかりで、前進しにくくなります。

バタ足では脚の動きだけでなく、頭、背中、腰、脚がつながった姿勢が重要です。

子どもへの伝え方

「おなかを少し硬くして、身体を長くしよう」

「お尻を水面に近づけよう」

「頭からつま先まで、まっすぐ伸びよう」

強くおなかへ力を入れすぎると身体全体が硬くなるため、「少し硬くする」程度で十分です。


6.力みすぎて身体が硬くなっている

前へ進もうとするほど、肩、腰、膝、足首などに力が入りすぎる子もいます。

身体が硬くなると、滑らかに脚を動かせません。呼吸も止まりやすく、すぐに疲れてしまいます。

特に水が怖い子は、技術の問題よりも、身体が緊張していることが原因の場合があります。

子どもへの伝え方

「頑張りすぎなくて大丈夫」

「水の上で身体をゆらゆらさせよう」

「肩と足首を柔らかくしよう」

まずは水に浮く感覚を覚え、力を抜いても沈まないことを経験させることが大切です。


バタ足が進みやすくなる練習方法

練習1.陸上で足首ブラブラ

最初に、プールへ入る前に足首の力を抜く感覚を覚えます。

やり方

  1. 床やプールサイドに座る
  2. 脚を前へ伸ばす
  3. 足首の力を抜いて上下にブラブラさせる
  4. 足の甲とつま先が柔らかく動いているか確認する

ポイント

足首を自分の力で強く動かすのではなく、脚を揺らした結果、足先が遅れてついてくるような感覚を目指します。

声かけ

「足先を柔らかいヒレにしよう」


練習2.うつ伏せで小さなバタ足

水に入る前に、膝を曲げすぎない動きを練習します。

やり方

  1. マットなどにうつ伏せになる
  2. 脚を長く伸ばす
  3. 股関節から左右交互に小さく上下させる
  4. 膝を大きく曲げないようにする

ポイント

腰を反りすぎたり、脚を高く上げすぎたりしないようにしましょう。

声かけ

「太ももの付け根から動かそう」

「小さく速くパタパタしよう」


練習3.プールサイドにつかまってバタ足

壁につかまることで、姿勢と脚の動きに集中できます。

やり方

  1. 両手でプールサイドを持つ
  2. 腕を伸ばして身体を水面に浮かせる
  3. 顔を水につける
  4. 小さく連続してバタ足をする

確認するポイント

  • 膝が大きく曲がっていないか
  • 足が開きすぎていないか
  • 足首に力が入っていないか
  • 腰やお尻が沈んでいないか

水しぶきを大きく上げることが目的ではありません。水面が細かく泡立つ程度を目安にします。


練習4.背浮きでバタ足

うつ伏せでは自分の脚が見えませんが、背浮きなら膝の動きを確認しやすくなります。

やり方

  1. 上向きで身体を浮かせる
  2. 顎を軽く引く
  3. おなかと腰を水面へ近づける
  4. 脚を長く保ちながら、小さくバタ足をする

膝が水面から大きく飛び出している場合は、膝を曲げすぎている可能性があります。

声かけ

「膝を水の中に隠しておこう」


練習5.壁を蹴ってけのびをする

バタ足の前に、抵抗の少ない姿勢を覚える練習です。

やり方

  1. 壁に両足をつける
  2. 両手を頭の上で重ねる
  3. 壁を蹴って身体をまっすぐ伸ばす
  4. 足を動かさず、どこまで進めるか試す

けのびだけで進めない場合は、身体が曲がっていたり、顔が上がっていたりする可能性があります。

バタ足の練習をする前に、まず「まっすぐな姿勢なら水の中を進みやすい」という感覚を身につけましょう。

声かけ

「細くて長いロケットになろう」


練習6.けのびからバタ足を加える

まっすぐ進めるようになったら、けのびにバタ足を加えます。

やり方

  1. 壁を蹴て、けのびをする
  2. 身体がまっすぐになった状態でバタ足を始める
  3. 小さく連続して足を動かす
  4. 姿勢が崩れたら一度立つ

最初から長い距離を泳ぐ必要はありません。

3メートル、5メートルと短い距離で、正しい姿勢を保てた成功体験を積み重ねましょう。


練習7.ビート板を身体の前へ伸ばして泳ぐ

ビート板は便利ですが、強く押さえつけたり、身体の近くで持ったりすると、顔が上がって脚が沈むことがあります。

やり方

  1. ビート板の手前側を軽く持つ
  2. 腕を前へ伸ばす
  3. 顔を水につける
  4. 身体を長く保ちながらバタ足をする

ポイント

ビート板に体重をかけすぎず、軽く支える程度にします。

顔を上げたまま泳ぐ練習ばかりを続けると、腰や脚が沈んだ姿勢が癖になることもあります。顔を水につける練習と組み合わせましょう。


子どもに伝えるときは「一度に一つ」が大切

バタ足がうまくできない子に、

「膝を曲げないで」

「足首の力を抜いて」

「顔を下げて」

「おなかにも力を入れて」

一度にたくさん伝えると、子どもは何を直せばよいか分からなくなります。

まずは一番大きな原因を見つけて、一つだけ伝えましょう。

例えば、膝を曲げすぎている場合は、

「今日は長い足でパタパタすることだけ意識しよう」

と伝えます。

できるようになってから、次の課題へ進む方が上達しやすくなります。


子どもに伝わりやすい声かけ

専門的な表現より、動きをイメージできる言葉が効果的です。

改善したい動き子どもへの声かけ
膝を曲げすぎる長い足でパタパタしよう
足首が硬い足を柔らかいヒレにしよう
足を大きく動かす小さな泡を作ろう
顔が上がるおへそを見るようにしよう
身体が曲がる一本の鉛筆になろう
全身が力む水に身体を預けよう

子どもによって分かりやすい表現は異なります。言葉だけで伝わらない場合は、コーチや保護者が動きを見せることも有効です。


バタ足は脚の力だけでは上達しない

バタ足という名前から、脚だけの運動だと思われがちです。

しかし、実際には次のような力が関係しています。

  • 身体をまっすぐ保つ力
  • 股関節から脚を動かす力
  • 足首を柔らかく使う力
  • 水の中で力を抜く感覚
  • 手足をリズムよく動かす力
  • 自分の身体の位置を把握する力

つまり、バタ足が進まない原因は、単純な脚力不足だけではありません。

身体の姿勢、バランス、柔軟性、リズム、身体各部の連動など、さまざまな要素が組み合わさっています。


水泳以外の運動経験も上達の土台になる

水泳の技術は、水中で練習することが基本です。

一方で、陸上でさまざまな動きを経験することも、身体を思いどおりに動かす力につながります。

例えば、

  • 片足でバランスを取る
  • 手足を別々に動かす
  • リズムに合わせてジャンプする
  • 身体をまっすぐ伸ばす
  • 力を入れる・抜くを使い分ける
  • 股関節から脚を動かす

といった経験です。

特定の競技動作だけを繰り返すのではなく、幼少期から多様な動きを経験することで、水泳、サッカー、野球、バスケットボールなど、さまざまなスポーツにつながる身体の土台を育てられます。


まとめ

バタ足をしても前へ進まない場合は、力の弱さだけが原因とは限りません。

主に確認したいポイントは、次の6つです。

  1. 膝を大きく曲げていないか
  2. 足首に力が入りすぎていないか
  3. 足を大きく動かしすぎていないか
  4. 顔が上がっていないか
  5. 腰やお尻が沈んでいないか
  6. 身体全体が力んでいないか

まずは、けのびで身体をまっすぐ伸ばす感覚を身につけ、その姿勢を保ったまま、小さく連続したバタ足を加えていきましょう

子どもへ伝えるときは、細かな注意を一度に伝えるのではなく、

「長い足でパタパタしよう」
「柔らかいヒレになろう」
「一本の鉛筆になろう」

など、イメージしやすい短い言葉を使うことが大切です。

できない動きを何度も繰り返すよりも、原因を一つずつ見つけ、子どもが「できた」と感じられる練習を積み重ねていきましょう。


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